スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

短編小説「多分ギャグ小説」

   短編小説「多分ギャグ小説」

「なぁ、暇だな」
 佐藤がそんな事を言い始め、本を読んでいた鈴木とゲームをしていた高橋が顔を上げた。
「いや、別に暇じゃねーし。俺、犯人推理するのに忙しいから」
 そう言って鈴木が本に顔を戻そうとした時、佐藤が呟く。
「それ、主人公の自作自演ってオチだから」
「てんめぇぇぇぇッ!!」
 鈴木は立ち上がり、佐藤に掴みかかる。
「お前は、人の気持ちを、考えたことがあるのかッ!!」
「いや、だって最後まで読んだらその本つまんないもん!! 最後の最後で犯人が主人公って分かった時の興醒め具合って言ったらなかったぜ!!」
「同じ興醒めでも、今教えられる興醒めよりかはマシだ!!」
 掴み合う二人を横で見ながら、高橋は二人に尋ねる。
「なぁ、結局暇だからってことでなんかすんのか? ここ逃すとしばらくセーブできないからこのタイミングでしかゲームやめられないんだけど」
「む……そうだな……」
 佐藤は落ち着き、鈴木から手を放した。
「何冷静になってんだボケェ!!」
 しかし、未だ怒り収まらぬ鈴木は佐藤に頭突きを叩きこむ。
「……ッ!?」
 額を押さえてしゃがみ込む佐藤を見下ろしながら、鈴木は幾分か落ち着きを取り戻した調子で佐藤に尋ねる。
「んで、暇だからってどうするんだ?」
「い、いや、怖い話でもしようかなと」
「独りでしとけや!!」
 鈴木は再び激昂し、佐藤に怒鳴る。
「そんなくだらんことをやるために人の楽しみを台無しにしやがったのか!!」
「まぁ、落ち着け、鈴木」
 高橋はゲームの電源を切りながら、立ち上がった。
 その顔には満面の笑みが浮かんでいる。
「やろうぜ。怖い話」
「おう……お前そんなに怖い話好きだっけ?」
「いや、俺が好きなのは人がビビるのを見ることだよ」
 それを聞いた佐藤は鈴木に耳打ちする。
「いるよな。こういう『自分はSなんですよー』ってアピールする奴」
「まぁ、いいだろ。実際怖い話って人をビビらせて楽しむ為にあるようなもんだし」
 こうして、三人は怖い話をすることになった。

 まずは言い出しっぺの佐藤が怖い話をしようと頭を捻るが、どれもこれも聞いたような話しかない。
 おそらく、既存の話ではこの二人を怖がらせることなどできないだろう。
 そう考えた結果、佐藤は語り出す。
「俺、兄貴に掘られかけたことがある」
 部屋の温度が少し下がった気がした。
「え、なに? 怖いってそういうリアル的な話なの?」
「いや、そもそもさっきの本当にリアルなのか? 作り話じゃないのか」
 鈴木と高橋はひそひそと話し合う。
 その様子を見て、佐藤は失敗を悟り、次の話題に切り替えた。
「えーっと、俺の姉ちゃん、多分ストーカーやってる。現在進行形で」
「その家族シリーズやめろ!! 何でお前の家族のそんなアブノーマルな秘密を知らなきゃいけないんだ!!」
「死んだ人間より生きた人間のほうが怖いんだよ!!」
「何もっともらしい事言ってんだ!!」
 再び掴み合う佐藤と鈴木。
 そんな二人を見ながら、今度は高橋が語り出す。
「俺、不安の種全巻三冊ずつ持ってる」
 その発言に、二人の動きは止まった。
 佐藤は冷や汗すら流しながら呟く。
「こ、こぇ~」
「え、今の怖いの!?」
 意味が分からず、鈴木が突っ込む。
「だって不安の種ってアレだろ? 意味不明で生理的に受け付けない感じのバケモンが出てくるホラー漫画だろ? しかも解決とかバケモンの正体わかったりしないから後味悪いし……そんなもんを全巻三冊ずつとか呪われそうじゃん……」
「でもよ、ほら、観賞用、保管用、布教用って感じで……」
 鈴木のフォローに対し、高橋は否定する。
「いや、おかず用、実行用、彼女泣かせる用」
「怖っ!? なんだよおかず用って!! あ、アレか? すなわち自慰行為に……」
「いや、そこも怖いけど実行用ってのがもっと怖いぞ!! 一体何を実行するのに使うんだ……」
「更に怖いのは彼女泣かせる用とか言ってまたもや痛いドSアピールすると同時に彼女の存在を独り身の俺達に自慢するというクソ小汚い嫌がらせをしているところだ」
「いや、彼女いないけど」
『こえ~!! 彼女いないのに堂々と彼女泣かせる用とか買ってるとかこえ~!!』
 やたらと肌に怖がるふりをする二人に高橋はむっとし、まだ怖い話をしていない鈴木を指さす。
「そういう鈴木はどうなんだよ。怖い話とかできんのか」
 そう言われて鈴木は少し考えこむ。
 そして小さい声で呟いた
「最近さ……誰かに見られてる気がするんだ……」
 その真面目な調子に佐藤も鈴木も黙り込む。
「最初は気のせいかなって思ってたけど、家に帰ると物が置いてある位置とか微妙に変わってることとかあってさ……」
 そこまで聞いた時、佐藤はある可能性に行き着いた。
 それは……
「……もしかして、俺をストーキングしてるのって、佐藤の姉ちゃんじゃね?」
 その後、三人はしばらく黙り込む。
 最初に口を開いたのは佐藤だった
「そう言えばさ……今日お前らを家に呼んだのって、姉ちゃんが『お菓子作るから友達でも呼びなさいよ』って言ったからなんだよね……」
 コン……コン……
 三人はビクリと身体を震わす。
 ギギギギィ……
「弟~。お菓子できたわよ」
 そう言いながら佐藤の姉が部屋に侵入してくる。
 三人はまるで最初からそうして存在しているかのように、まったくもって動かなかった。
 姉は三人の前にまずはジュースを置いていく。
 カルピスだった。
 白濁としているために、中に何が入っていても気付きはしないだろう。
 次に小皿に盛ったクッキーを三人の前にそろぞれ一つずつ置いていく。
 クッキーならば大皿に全部乗せればよいではないか。
 何故個別なのか。
 個別にしたい理由でもあるのか。
 「クッキーなんてまとめて作るから変なものなんて入っていないよ~」というアピールではないのだろうか。
 そして佐藤と高橋は気付く。
 姉が鈴木の前に小皿を置く時、さり気なくボディータッチしたのだ。
「それじゃあ」
「あ、あの……」
 立ち去ろうとする姉を高橋が呼び止めた。
「お、お姉さん美人ですよね……こ、恋人とかいるんですか? お、俺立候補しちゃおうかなぁ~……なんて……」
 その言葉に佐藤と鈴木はドキリとする。
(こいつ……真相を確かめる気か?)
 姉は少し困ったように笑い、
「ごめんねぇ~。私、今好きな人いるから」
 そう言って断った。
「で、ですよねぇ~。やっぱり、年下には興味無いですよねぇ~」
 高橋は若干冷や汗をかきつつも更に踏み込んだ質問をする。
「う~ん……今好きな人も年下だから、年齢はそんなに拘らないかな?」
 姉は恥ずかしそうにはにかみながら答えた。
 だが、最悪の回答だった。
「じゃあね」
 姉が去った後も、三人はしばらく黙りっぱなしだった。
 佐藤が静かに呟く。
「ビンゴじゃねえか……どうするよ、鈴木」
 当の鈴木はというと呆けた表情でボーっとしていた。
 どうやらショックすぎて何も考えられないようだ。
 その様子を見ながら高橋が尋ねる。
「どうする、このクッキーとカルピス……」
 佐藤は首を振る。
「どうもこうも、こんなもん口にできるかよ……捨てようぜ……」
「捨てたら捨てたで、とんでもないことになるかも……」
 それを聞いた佐藤はクッキーを次から次へと口に放り込み咀嚼し、口に入りきらない分は砕いてからカルピスに投入し、それを飲み干した。
「ぶはぁー!! 一抜けた!!」
「あ、俺も!!」
 それを見ていた高橋も急いでクッキーを食べ始める。
 そもそも、小皿を別にした目的がクッキーに何かを仕込んでいるのだとしたら、ストーキングの対象ではない佐藤と高橋は安全なはずなのである。
 鈴木はその事実を胸に刻みながら、ゆっくりと自分のクッキーを食べ始めた。
「おいしいなぁ……いままでこんなおいしいクッキーたべたのはじめてだ……もうしんでもいいや……ふへ、ふへへへ……」
 鈴木は口では笑いつつも、大粒の涙をこぼしていた。
 この先自分に降りかかるであろう最大限の災厄を考えながら、最期のクッキーを楽しむのであった。

 食べ終わった後もまた沈黙が続き、もう6時を過ぎてそろそろ解散しようという流れになった。
 だが、そんな時、ようやく立ち直った鈴木が決意を口にする。
「俺、佐藤の姉ちゃんにストーキングはやめてくれっていうよ」
「ちょ、おま、殺されるぞ!!」
 高橋が鈴木に抱きついて止めようとする。
「放してくれ、高橋……このままじゃ、いけないんだ。俺にとっても彼女にとっても……」
「で、でも下手に刺激したら……ほら、佐藤も一緒に説得してくれよ」
 高橋に言われ、佐藤も頷く。
「そうだぞ、鈴木。お前がそんな事をしたら俺が怒られるんだからな」
「テメェ佐藤!! お前は自分のことしか考えてねえのか!!」
「いや、だって嘘だし」
 場の空気が凍る。
「兄貴に掘られかけたとか、姉ちゃんがストーカーとか、嘘だし。姉ちゃん基本出不精だし」
「え……え?」
「なかなかの演技力だったろ?」
「……」
「あ、でも多分姉ちゃんが好きな相手って鈴木であってるよ。お前らビビってて気づいてなかったろうけど、鈴木の皿が一番クッキー多かったんだよ。姉ちゃんなりのアピールなんだろ……」
 佐藤は鈴木の手によりボコボコにされた。

 怖い話のオチなど、所詮はこの程度のものなのである。
 以下蛇足につき白文字。

 佐藤をのした後、鈴木は帰路につく。
 だが、鈴木は肝心のことを忘れていた。
 佐藤の姉がストーカーをしていたということが嘘でも、鈴木がストーキングされているという事実は消えていないのだ。
 薄暗い道を歩く鈴木の後ろを、気付かれないほどの距離感で歩き続ける人物が居た。
「鈴木……」
 呼ばれた気がして鈴木が振り向くと誰もいない。
 その直後、メールが届いた。
「ん? 誰だ?」
 高橋からであり、その内容は今度遊ばないかというものだった。
「遊んだ直後に遊ぶ約束かよ……元気だな、アイツも」
 鈴木は苦笑いしながら、再び歩き始めた。
 鈴木が去った後、電柱の影に隠れていた人物が鈴木の後をなぞるように歩き出す。
「鈴木……」
 高橋は、静かに鈴木の後ろを歩く。



あとがきって言うかなんかアレですけど……
正直、自分でも何を書きたかったのかがよく分からん。
適当に30分ぐらいでギャグでも書くかなーって書いてたらこうなりました。
いくら短編だからって無計画に書くもんじゃないですね。
ギャグとしてはオチがかなり弱いですし、かと言って途中から雰囲気おかしくなってギャグが弱くなってましたし。
まぁ、ちょっとしたお遊びでしたし気にしない事にします。

それでは。
スポンサーサイト

comment

Secret

プロフィール

マスクド

Author:マスクド
すっかりデュエル脳に……

最新記事
最新コメント
カテゴリ
リンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。